ジャズの名曲・スタンダード20選|バーで聴きたい不朽の定番曲を解説

1冊の譜面を囲むトランペット・サックス・ギターとマイク、傍らに枯葉とウイスキーグラス(ジャズの名曲・スタンダード20選のイメージ)

「ジャズの名曲って、結局どの曲を聴けばいいの?」──ジャズを聴き始めると、必ず耳にする“定番曲”の存在に戸惑う方は少なくありません。実は、ジャズの世界には数多くのミュージシャンが繰り返し演奏してきた「共通言語」としての名曲群=スタンダードがあります。本記事では、麻布十番のジャズバーTOMIJAZが、バーで聴きたい不朽のジャズ・スタンダード20曲を、入門・モダン・バラード・ボサノヴァの4系統に分けて、作曲年や代表的な録音とともに解説します。

ジャズの名曲=スタンダードは、ミュージシャンが世代を超えて演奏してきた「歌の教科書(グレート・アメリカン・ソングブック)」。枯葉・フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン・SO WHAT・テイク・ファイブなど、作曲年・原曲・名演を押さえれば、同じ曲の聴き比べという一生ものの愉しみが手に入ります。

スタンダードの多くは、1920〜60年代にブロードウェイのミュージカルやハリウッド映画のために書かれた楽曲が起源です。ジャズ・ミュージシャンたちはそれらのメロディとコード進行を土台に、自由なアドリブ(即興演奏)を重ねて独自の名演を生み出してきました。だからこそ同じ曲でも、演奏者によって驚くほど表情が変わるのです。

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目次

1. ジャズの名曲・スタンダードとは|世代を超える「共通言語」

ジャズの名曲を語るうえで欠かせないのが「スタンダード」という考え方です。まずは、なぜ特定の曲だけが何十年も演奏され続けるのか、その仕組みを整理します。バーでジャズを聴く楽しみが一段と深まる基礎知識です。

1-1. スタンダードとは「繰り返し演奏される定番曲」

スタンダード(standard)とは、多くのミュージシャンによって繰り返し演奏され、ジャズの共通レパートリーとして定着した楽曲を指します。楽譜集「リアルブック」に収められた曲がその代表で、初対面の演奏者同士でも「枯葉を1コーラス」と言えば、その場でセッションが成立します。名曲とは、いわばジャズ界の共通言語なのです。

1-2. 多くはミュージカル・映画のために書かれた

意外に思われるかもしれませんが、スタンダードの多くはジャズのために作られた曲ではありません。1920〜50年代のブロードウェイ・ミュージカルやハリウッド映画のために書かれたポピュラー・ソング群「グレート・アメリカン・ソングブック」が源流です。コール・ポーターやジョージ・ガーシュウィンらの名曲を、ジャズ・ミュージシャンが即興演奏の題材として取り込んでいきました。

1-3. 「聴き比べ」こそ名曲の醍醐味

  • 同じ曲でも演奏者で別物:テンポ・拍子・楽器編成が変わると印象が一変します
  • 時代で解釈が変わる:1940年代のスウィングと1960年代のモダンでは同じ曲でも響きが違います
  • ボーカルと器楽の違い:歌詞のある名唱と、サックスやピアノの器楽版を比べる愉しみがあります

2. 【入門編】まず聴きたい定番スタンダード5選

最初の5曲は、ジャズに詳しくない方でも一度は耳にしたことがある、間口の広い名曲です。メロディが親しみやすく、バーで流れていても自然に心に馴染みます。まずはここから始めましょう。

2-1. 枯葉(Autumn Leaves)

フランスの作曲家ジョゼフ・コズマが1945年に書いたシャンソン「Les feuilles mortes」が原曲。のちにジョニー・マーサーが英語詞をつけ、ジャズの最重要スタンダードとなりました。キャノンボール・アダレイとマイルス・デイヴィスによる1958年の名演が特に有名で、物憂げな短調のメロディは秋の夜のバーに格別に映えます。

2-2. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(Fly Me to the Moon)

1954年にバート・ハワードが「In Other Words」として発表した曲。フランク・シナトラがカウント・ベイシー楽団と1964年に録音した軽快なスウィング版で決定的な人気を得ました。明るく親しみやすいメロディは、初心者の入り口に最適です。

2-3. サマータイム(Summertime)

ジョージ・ガーシュウィンが1935年のオペラ「ポーギーとベス」のために書いた子守唄。物悲しくも美しい短調のメロディは、世界でもっともカバーされた楽曲のひとつとされ、数えきれないほどの名唱・名演を生んできました。

2-4. マイ・フェイヴァリット・シングス(My Favorite Things)

1959年のミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の劇中歌。ジョン・コルトレーンが1961年にソプラノサックスで演奏したモード・ジャズの名演により、ジャズ・スタンダードとして不動の地位を得ました。3拍子の反復するリズムが心地よい一曲です。

2-5. この素晴らしき世界(What a Wonderful World)

1967年にルイ・アームストロングが歌った、平和を願う名曲。しわがれ声で穏やかに世界の美しさを歌い上げるその歌唱は、世代を超えて愛され続けています。夜の締めくくりにふさわしい、温かな余韻を残す一曲です。

3. 【モダンジャズ編】名盤が生んだ不朽の名曲5選

続いては、1950〜60年代のモダンジャズを象徴する5曲です。いずれもジャズ史に残る名盤に収録され、演奏そのものがスタンダード化した楽曲。奥深さを体感したい方はこの系統からどうぞ。

3-1. So What(マイルス・デイヴィス)

1959年の歴史的名盤『Kind of Blue』の冒頭を飾る曲。コード進行ではなく音階(モード)を土台に即興する「モード・ジャズ」の代表作で、ジャズの表現を根底から変えた一曲です。静かに始まりじわじわと熱を帯びる展開を、じっくり味わいたい一杯です。

Miles Davis マイルスデイビス / Kind Of Blue 【SACD】
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3-2. テイク・ファイブ(Take Five)

アルト奏者ポール・デズモンドが作曲し、デイヴ・ブルーベック・カルテットが1959年のアルバム『Time Out』で発表。ジャズでは珍しい5拍子(4分の5拍子)で書かれながら大ヒットし、変拍子ジャズの代名詞となりました。軽やかで都会的な響きは、バーの空気に洗練を添えます。

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3-3. ラウンド・ミッドナイト(’Round Midnight)

ピアニスト、セロニアス・モンクが1940年代に書いた、ジャズ・ミュージシャンの作曲としてもっとも多く録音されたとされる名曲。真夜中の孤独と美しさを湛えた深いメロディは、まさに深夜のバーのための一曲。数多の名演を聴き比べる愉しみに満ちています。

3-4. ワルツ・フォー・デビイ(Waltz for Debby)

ピアニスト、ビル・エヴァンスが姪のために書いた3拍子の名曲。1961年にニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで録音されたライブ盤は、繊細なピアノトリオ表現の頂点とされます。グラスを傾けながら聴きたい、静謐で叙情的な一曲です。

Bill Evans (Piano) ビルエバンス / Waltz For Debby (180グラム重量盤レコード / waxtime) 【LP】
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3-5. モーニン(Moanin’)

ピアニスト、ボビー・ティモンズが作曲し、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズが1958年に録音。ゴスペルやブルースの土臭さを取り入れたファンキー・ジャズの代表作で、「呼びかけと応答」の分かりやすい構成が魅力。ノリの良さで初心者にも人気です。

4. 【バラード編】夜のバーに映える叙情の名曲5選

バラードは、ゆったりとしたテンポでメロディの美しさをじっくり味わう楽曲。照明を落としたバーの夜に、これほど似合う音楽はありません。一杯のグラスと静かに向き合いたいときの5曲です。

4-1. ボディ・アンド・ソウル(Body and Soul)

1930年に書かれ、1939年のコールマン・ホーキンスによるテナーサックス演奏がジャズ史を変えた名曲。メロディをほとんど崩して即興する斬新な解釈は、その後のジャズの方向性を決定づけました。バラードの最高峰と称される一曲です。

4-2. ミスティ(Misty)

ピアニスト、エロール・ガーナーが1954年に作曲した、ムーディーで甘美なメロディが魅力の名曲。のちに歌詞がつけられ、多くのボーカリストにも愛された、夜のひとときにウイスキーとともに聴きたい一曲です。

4-3. マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)

1937年のミュージカル「ベイブス・イン・アームス」の劇中歌。チェット・ベイカーの物憂げな歌唱やマイルス・デイヴィスの器楽版など、名演に事欠かない切ないバラード。移ろうメロディの陰影が大人の夜によく似合います。

4-4. ジョージア・オン・マイ・マインド(Georgia on My Mind)

ホーギー・カーマイケルが1930年に書き、1960年のレイ・チャールズの熱唱で不朽の名曲となりました。のちに米ジョージア州の州歌にも制定された、望郷の念に満ちた温かいメロディが魅力です。

4-5. オール・ザ・シングス・ユー・アー(All the Things You Are)

作曲家ジェローム・カーンが1939年に書いた、転調を繰り返す高度なコード進行で知られる名曲。ミュージシャンの技量が試される「腕試しの定番」でもあり、器楽演奏で聴くとその構築美がよく分かります。ジャズの奥深さを味わいたい方に。

5. 【ボサノヴァ・洒脱編】洗練された定番5選

最後は、ラテンやボサノヴァの香りをまとった洒脱な5曲です。軽やかなリズムと都会的な響きは、バーの夜に心地よい抜け感をもたらします。肩の力を抜いて楽しみたいときにぴったりです。

5-1. イパネマの娘(The Girl from Ipanema)

アントニオ・カルロス・ジョビン作曲のボサノヴァの代表曲。1964年のスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの共演盤から世界的ヒットとなり、アストラッド・ジルベルトのささやくような歌声が一世を風靡しました。ゆったりとした午後にも夜にも似合う名曲です。

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5-2. ブルー・ボッサ(Blue Bossa)

トランペット奏者ケニー・ドーハムが作曲し、1963年にジョー・ヘンダーソンのアルバム『Page One』で発表。ジャズとボサノヴァを融合させた覚えやすいメロディで、セッションの定番曲となりました。哀愁と軽快さを併せ持つ、聴き飽きない一曲です。

5-3. いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)

1937年のディズニー映画「白雪姫」の劇中歌。ビル・エヴァンスやマイルス・デイヴィスが1961年に取り上げたことでジャズ・スタンダードとなりました。優雅な3拍子のワルツが、大人のためのおとぎ話のように響きます。

5-4. ナイト・アンド・デイ(Night and Day)

コール・ポーターが1932年に書いた、洗練の極みともいえるラブソング。半音階を巧みに使った印象的なメロディは、ボーカルにも器楽にも映える、夜のバーのための一曲です。

5-5. カンタロープ・アイランド(Cantaloupe Island)

ピアニスト、ハービー・ハンコックが1964年のアルバム『Empyrean Isles』で発表。反復するファンキーなピアノのリフが印象的で、後世のクラブジャズにも大きな影響を与えた、グルーヴィな一曲です。

6. ジャズの名曲を深く味わう聴き方のコツ

名曲を知ったら、次は「どう聴くか」です。少しの視点を持つだけで、同じ一曲から受け取れる豊かさが何倍にも広がります。バーでの一杯を最高の体験に変える、4つの聴き方です。

6-1. 同じ曲を複数のバージョンで聴き比べる

もっとも贅沢な愉しみが、1曲を複数の演奏者で聴き比べることです。たとえば「枯葉」だけでも、マイルスの端正な演奏とビル・エヴァンスの繊細なピアノでは印象がまるで違います。お気に入りの1曲を決め、演奏者を変えて聴くのが上達の近道です。

6-2. 拍子やコードの「仕掛け」に耳を澄ます

「テイク・ファイブ」の5拍子、「ワルツ・フォー・デビイ」の3拍子など、リズムの仕掛けに気づくと聴こえ方が変わります。難しい知識は不要で、「なんだか不思議な揺れ方だ」と感じるだけで十分。その感覚こそが、ジャズを深く味わう入り口になります。

6-3. CD・レコードで名盤を手元に置く

配信も便利ですが、名盤をCDやアナログレコードで手元に置くと、ジャケットや解説とともに音楽への愛着が深まります。『Kind of Blue』や『Waltz for Debby』などの歴史的名盤は、まずは自分が好きになった1曲が入った一枚から揃えるのがおすすめです。

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6-4. お酒と合わせて「時間」を味わう

バラードには香りの開くウイスキーやブランデー、軽快なボサノヴァにはシャンパンなど、曲調にお酒を合わせると、一杯の時間そのものが立体的になります。麻布十番のジャズバーTOMIJAZでは、その日の音楽と気分に合わせた一杯をバーテンダーがご提案します。

麻布十番でジャズの名曲と一杯を楽しむなら:TOMIJAZのご案内

麻布十番のジャズバー TOMIJAZ では、本記事で紹介したようなジャズの名曲・スタンダードが流れる空間で、じっくりと一杯を味わっていただけます。山崎・白州・響などのジャパニーズウイスキー、マッカランやタリスカーといったスコッチ、ヘネシーやレミーマルタンのコニャックまで、名演に寄り添うお酒を豊富にご用意。その日の音楽と気分に合わせた一杯をバーテンダーがご提案します。名曲の余韻に浸る大人の夜を、ぜひカウンターでお過ごしください。

所在地〒106-0045 東京都港区麻布十番2-8-3 ディケンズ麻布 3F
営業時間月曜〜土曜 19:00〜翌2:00(L.O. 1:30)
定休日日曜・祝祭日
アクセス東京メトロ南北線「麻布十番駅」4番出口/都営大江戸線「麻布十番駅」7番出口より徒歩3分
電話予約03-3454-5566 ※営業時間内のみ
ウェブ予約食べログ予約ページ

まとめ

ジャズの名曲・スタンダードは、世代を超えて演奏され続けてきた「共通言語」です。枯葉などの入門曲から、So Whatやテイク・ファイブといったモダンジャズの金字塔、ボディ・アンド・ソウルのバラード、イパネマの娘に代表される洒脱なボサノヴァまで、幅広い名曲が今日も愛されています。まずは好きな1曲を見つけ、演奏者を変えて聴き比べるのが、ジャズを深く味わう最短の道です。そして名曲は、静かなバーで一杯とともに聴くとき、いっそう豊かに響きます。麻布十番のジャズバーTOMIJAZで、名演の流れる大人の夜をお過ごしください。

よくある質問(FAQ)

ジャズのスタンダードとは何ですか?

多くのミュージシャンによって繰り返し演奏され、ジャズの共通レパートリーとして定着した楽曲のことです。「枯葉」や「So What」のように、初対面の演奏者同士でもその場でセッションが成立するほど広く共有された定番曲を指します。

ジャズ初心者はどの名曲から聴けばよいですか?

メロディが親しみやすい入門曲がおすすめです。「枯葉」「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「サマータイム」「この素晴らしき世界」あたりは、ジャズに詳しくない方でも自然に楽しめます。まず1曲を気に入ることが上達の近道です。

スタンダードとオリジナル曲の違いは何ですか?

スタンダードは主に1920〜50年代のミュージカルや映画のために書かれ、多くの演奏者に共有された定番曲です。一方オリジナル曲は、その演奏者やバンドが自ら作曲した独自の曲を指します。「So What」のように、オリジナル曲がのちにスタンダード化する例もあります。

同じ曲なのに演奏によって印象が違うのはなぜですか?

ジャズはメロディとコード進行を土台に、演奏者が自由にアドリブ(即興演奏)を重ねる音楽だからです。テンポ・拍子・楽器編成・時代背景によって解釈が変わるため、同じ曲でも演奏者ごとに表情が大きく異なります。この聴き比べこそがジャズの醍醐味です。

「テイク・ファイブ」はなぜ有名なのですか?

ジャズでは珍しい5拍子(4分の5拍子)で書かれながら大ヒットした点が画期的でした。1959年のアルバム『Time Out』に収録され、変拍子ジャズの代名詞として今も愛されています。軽やかで都会的な響きが魅力です。

ジャズの名曲を家でも楽しむにはどうすればよいですか?

配信サービスで気軽に聴けますが、歴史的名盤をCDやアナログレコードで手元に置くと、ジャケットや解説とともに愛着が深まります。まずは好きになった1曲が入った名盤から揃えるのがおすすめです。

バーでジャズの名曲を聴くときのマナーはありますか?

特別なマナーは不要ですが、音楽に耳を傾ける雰囲気を大切にし、会話の声量に少し配慮するとより上質な時間になります。気になった曲があれば、バーテンダーに曲名や演奏者を尋ねてみるのも楽しい過ごし方です。

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この記事を書いた人

TOMIJAZ Bartenders(トミジャズ・バーテンダーズ)

麻布十番のジャズバーTOMIJAZの現役バーテンダーチーム。創業者・トミがニューヨーク20年・東京14年にわたり築いたジャズバーの歴史を、常連客からオーナーとなった株式会社Envalue代表の水野泰和が2022年11月より受け継いでいます。お酒・ジャズ・空間づくりに関する一次情報を、現場のカウンターから発信しています。

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