「カクテルの王様」と呼ばれるマティーニ。シンプルな材料にも関わらず、バーテンダーの腕と感性が最も問われる一杯として、世界中のオーセンティックバーで愛され続けています。「ジンとドライベルモットだけのカクテルなのに、なぜ店で飲むと格別なのか?」「自宅で再現するには何が必要?」「ドライ・ウェット・パーフェクトとは?」──本記事では、マティーニの作り方・黄金比・アレンジ・歴史を、麻布十番のジャズバーTOMIJAZの視点から完全解説します。
カクテルの王様マティーニを徹底解説。歴史、黄金比(ドライ・ウェット・パーフェクト)、シェイクvsステア、ジンの選び方、ベルモット、アレンジレシピ(ダーティ・ジブソン・ヴェスパー・エスプレッソマティーニ)まで。麻布十番のTOMIJAZがお届け。
マティーニは20世紀のアメリカ大統領、文豪ヘミングウェイ、映画スター、ジャズミュージシャン──時代を象徴する大人たちが愛した一杯でもあります。本記事を読み終える頃には、なぜマティーニが「大人の証明」と呼ばれるのか、その理由がきっとお分かりいただけるはずです。
1. マティーニとは|カクテルの王様の正体
マティーニは、ジンとドライベルモットを基本材料とした、世界で最も有名なカクテル。「Cocktail of cocktails(カクテルの中のカクテル)」と称され、シンプルだからこそバーテンダーの技と銘柄の個性が際立つ一杯です。
1-1. マティーニの基本スペック
- ベース:ドライ・ジン
- 副材料:ドライ・ベルモット
- 製法:ステア(混ぜる)
- グラス:カクテルグラス(マティーニグラス)
- ガーニッシュ:オリーブまたはレモンピール
- アルコール度数:約30〜35%
1-2. マティーニの歴史
マティーニの起源には諸説ありますが、19世紀後半のアメリカで誕生したことは確実視されています。1860年代のサンフランシスコ・オクシデンタルホテルのバーテンダー、ジェリー・トーマスが原型を作ったとする説が有力。
当初は甘めのスタイル(オールドトムジンとスイートベルモット)でしたが、20世紀初頭にドライジン+ドライベルモットの「ドライマティーニ」が現代のスタンダードとして確立されました。
1-3. 文化・映画の中のマティーニ
007ジェームズ・ボンドの「Shaken, not stirred(シェイクで、ステアではなく)」のセリフで世界的に有名に。フランク・シナトラ、ハンフリー・ボガート、アーネスト・ヘミングウェイなど、20世紀の知的・洗練の象徴として愛飲されてきました。
2. マティーニの黄金比|ジン:ベルモット比率
マティーニの肝は、ジンとドライベルモットの比率。これによって「ドライ」「ウェット」「パーフェクト」などのスタイルが決まります。
2-1. スタンダード(黄金比)
現代の主流はジン6:ベルモット1のドライスタイル。ジン60ml + ドライベルモット10mlがバーで提供される最も一般的な比率です。
2-2. ドライマティーニ
ベルモットの量をさらに減らした「より辛口」のスタイル。ジン7〜10:ベルモット1の比率。チャーチル元首相は「ベルモットのボトルを見せるだけで十分」と言ったと伝えられるほど極端なドライ派でした。
2-3. ウェットマティーニ
ベルモットの量を多めにした、柔らかく飲みやすいスタイル。ジン2〜3:ベルモット1の比率。初心者やマティーニが初めての方におすすめ。
2-4. パーフェクトマティーニ
ドライベルモットとスイートベルモットを半々で使うスタイル。甘さと辛さのバランスが取れた、独特の魅力があります。
2-5. ヴェスパー・マティーニ
007ジェームズ・ボンドが小説『カジノ・ロワイヤル』で考案したオリジナル。ジン3:ウォッカ1:リレ・ブラン(旧キナ・リレ)2分の1、シェイクで作る。レモンピールを添えて。
3. プロが教える正統マティーニの作り方
シンプルな材料だからこそ、作り方の手順とディテールが完成度を左右します。バーテンダーの正統な手順を解説します。
3-1. 材料を冷やす(必須)
マティーニグラスは冷凍庫で30分以上、ジンも冷凍庫で冷やしておくのが鉄則。冷えていないと、シャープな第一印象が出ません。
3-2. ミキシンググラスに氷を入れる
ミキシンググラス(カクテル用ガラス容器)に大ぶりの透明な氷を山盛りに。氷の質と量が、ステアの効率を決めます。
3-3. ドライベルモットを注ぐ
ベルモット10mlをミキシンググラスに注ぎ、軽く2〜3回ステアして香りを氷に纏わせます。一部のバーテンダーは、ベルモットを注いだ後に余分なベルモットを捨て、香りだけを氷に移す技法も使います。
3-4. ジンを注ぐ
冷やしたジン60mlを静かに注ぎます。勢いをつけると氷が砕け、加水しすぎてしまいます。
3-5. ステア(重要工程)
バースプーンで静かに、滑らかに30〜40回ステア。リズミカルに、氷を傷つけないように。これによりわずかな加水(10〜15%)が行われ、ジンとベルモットが一体化します。
3-6. ストレーナーで漉す
ジュリエップストレーナーをミキシンググラスにかけ、冷えたマティーニグラスに静かに注ぎます。氷の欠片が入らないよう注意。
3-7. ガーニッシュ(オリーブ or レモンピール)
オリーブを1個、またはレモンピールを軽くひねって香りを付けて仕上げ。オリーブを入れると「ダーティ」風になり、塩味がアクセントに。レモンピールはより上品で、シャープな印象に。
4. シェイク vs ステア|どちらが正解?
007のセリフ「Shaken, not stirred」で有名になった論争。実は正統派マティーニは「ステア」です。
4-1. ステア派の理由
クラシック・カクテルのルールでは、「透明な材料同士を混ぜる場合はステア」が原則。ステアならジンとベルモットの繊細な香り成分が傷つかず、クリアでシルキーな質感に仕上がります。
4-2. シェイク派(ボンド風)の特徴
シェイクすると空気が含まれてマイルドな口当たりになり、わずかに濁ります。表面に細かい氷の欠片が浮く「ブルージング」と呼ばれる効果も。ジェームズ・ボンド風の一杯を楽しみたいなら、シェイクスタイルもあり。
4-3. バーテンダーへの注文
バーで頼むときは「マティーニを、ステアで」または「シェイクで、ボンド風に」と伝えるとプロらしい注文に。指定しない場合、多くのバーテンダーは正統派のステアで作ります。
5. マティーニに合うジンの選び方
マティーニの主役はジン。銘柄によってマティーニの表情は大きく変わります。
5-1. 王道:ロンドンドライジン
ジュニパーベリーの香りがクリアな、最もクラシックなジン。
- タンカレー:ジュニパーが強くシャープ、マティーニの王道
- ビーフィーター:バランス良く飲みやすい
- ボンベイサファイア:華やかな香り、初心者にも◎
- ゴードン:007のヴェスパー・マティーニで指定されている老舗
5-2. プレミアム:高級ジン
- ヘンドリックス:キュウリとローズが香る、エレガント
- モンキー47:47種類のボタニカル、複雑な香り
- シップスミス:英国ロンドン産のクラフトジン
5-3. ジャパニーズクラフトジン
- 季の美(京都蒸溜所):玉露・山椒など和素材、繊細
- ROKU(サントリー):桜・煎茶など6種の和素材
- 翠(サントリー):柚子・緑茶・生姜のソーダ割り向け
6. ベルモットの選び方
マティーニのもう一つの主役、ドライベルモット。地味だが質によって完成度が変わります。
- ノイリープラット ドライ:マティーニの定番中の定番
- マルティーニ ドライ:軽やかな個性
- ドラン・ヴェルムット ブラン:プレミアムなフレンチ系
ベルモットは開封後2〜3週間で香りが落ちるため、冷蔵庫で保管し、早めに使い切るのが鉄則です。
7. マティーニのアレンジレシピ
基本のドライマティーニから一歩進んだ、世界の名カクテルバリエーション。
7-1. ダーティマティーニ
オリーブの汁を少量加えた塩味の効いたスタイル。食前酒として人気急上昇中。
7-2. ジブソン
マティーニのガーニッシュをオリーブやレモンピールではなくパールオニオン(小さい玉ねぎ)に変えたもの。20世紀初頭にビジネスマンの間で流行。
7-3. ウォッカ・マティーニ(カンガルー)
ジンの代わりにウォッカを使った現代的なスタイル。クセが少なく飲みやすい。ジェームズ・ボンドが好むのもこちら(実は)。
7-4. エスプレッソマティーニ
1980年代にロンドンで誕生した近代の名作。ウォッカ + エスプレッソ + コーヒーリキュール。マティーニグラスで提供される現代の人気カクテル。
8. マティーニを楽しむシーン
マティーニは時と場所を選ぶカクテル。シーン別の楽しみ方を紹介します。
8-1. 食前酒として
ドライマティーニはシャープな辛口で、食欲を刺激し舌をリセットします。フレンチやイタリアンのディナー前に最適。
8-2. ビジネス・接待
「マティーニを注文できる」ことが大人の証。接待や重要な会食の際、自信を持ってマティーニを注文すれば、相手にセンスが伝わります。
8-3. 一人時間
カウンター席で1杯のマティーニをじっくり20分かけて味わう──大人の至福の時間です。
9. 麻布十番でマティーニを楽しむなら:TOMIJAZ
マティーニの真価を体験するには、本格的なオーセンティックバーで飲むのが一番。麻布十番のジャズバーTOMIJAZにお越しください。
TOMIJAZは、創業者・トミがニューヨークで20年、麻布十番で12年にわたり育てたジャズバー。正統派ステアによるドライマティーニから、ボンド風シェイクのヴェスパーまで、お客様のお好みに合わせてお作りします。タンカレー・ボンベイ・ヘンドリックス・季の美など、ジンの銘柄指定も可能です。
「ドライ・ウェット・パーフェクトの違いを飲み比べたい」「初めてのマティーニを試したい」──落ち着いたジャズが流れる空間で、本物のマティーニ体験をお楽しみください。
麻布十番駅徒歩3分、月〜土19:00〜翌2:00(L.O.1:30)営業。ご予約は食べログ予約ページから承っています。
まとめ
マティーニ完全ガイドのポイントを振り返ります。
- 「カクテルの王様」、ジン + ドライベルモットの王道
- 黄金比はジン6:ベルモット1のドライスタイル
- 正統はステア、シェイクは007ボンド風(マイルド)
- ジン選び:タンカレー・ボンベイ・ヘンドリックス・季の美など
- ベルモットは鮮度命、冷蔵保管
- アレンジ:ダーティ、ジブソン、ウォッカ、ヴェスパー、エスプレッソ
- シーン:食前酒、接待、一人時間
シンプルだからこそ奥深いマティーニ。麻布十番のジャズバーTOMIJAZが、その世界へのご案内を務めます。



よくある質問(FAQ)
- マティーニのジンとベルモットの比率は?
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クラシックは「ジン4:ドライベルモット1」前後が標準。徐々にベルモットを減らす「ドライマティーニ」化が進み、現代では「ジン6:ベルモット1」〜「ベルモットほぼゼロのエクストラドライ」も一般的です。
- ドライとエクストラドライの違いは?
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ベルモットの量の違いです。ドライはベルモットを少量入れ、エクストラドライはベルモットの瓶をグラスに向かって振るだけ、もしくはまったく入れない過激な辛口。ジンの個性が剥き出しになるため上級者向けです。
- シェイクとステアどちらが正しい?
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本格派はステア(混ぜる)が伝統で、ジンの繊細な香りが活きます。007のジェームズ・ボンド「Shaken, not stirred」はシェイクですが、これは異端のオーダーで、ベルモットの代わりにキナ・リレを使うウォッカ・マティーニ「ヴェスパー」の指定です。
- マティーニにおすすめのジンは?
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クラシックなロンドンドライ系が王道。シップスミス、タンカレーNo.10、ボンベイ・サファイア、ビーフィーター24などが定番。クラフトジン系ではモンキー47やヘンドリックスを使うと、銘柄の個性が前面に出る現代的なマティーニになります。
- オリーブはなぜ入れる?
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塩気がジンの辛口を引き立てるため、というのが定説。グリーンオリーブを1〜3個ガーニッシュとして添えるのが伝統。レモンピールに変えると「マティーニ・ツイスト」と呼ばれ、また違った印象になります。
| 所在地 | 〒106-0045 東京都港区麻布十番2-8-3 ディケンズ麻布 3F |
|---|---|
| 営業時間 | 月曜〜土曜 19:00〜翌2:00(L.O. 1:30) |
| 定休日 | 日曜・祝祭日 |
| アクセス | 東京メトロ南北線「麻布十番駅」4番出口/都営大江戸線「麻布十番駅」7番出口より徒歩3分 |
| ご予約 | 食べログ予約ページ |
TOMIJAZ Bartenders(トミジャズ・バーテンダーズ)
麻布十番のジャズバーTOMIJAZの現役バーテンダーチーム。創業者・トミがニューヨーク20年・東京12年にわたり築いたジャズバーの歴史を、常連客から運営者となった株式会社Envalueが2022年より受け継いでいます。お酒・ジャズ・空間づくりに関する一次情報を、現場のカウンターから発信しています。

