白州を実飲レビュー|香り・味わい・飲み方を麻布十番のバーが解説

TOMIJAZのバーカウンターに置かれたシングルモルトウイスキー白州の緑色の700mlボトルと、明るい黄金色の液体が注がれたグレンケアングラス。背後のバックバーには酒瓶が並んでいる

「白州はどんな味なのか」「山崎とはどう違うのか」「ハイボールがいいと聞くけれど本当か」──山崎と並んで手に入りにくい銘柄だけに、買う前・注文する前に味を知っておきたいところです。結論から言えば、白州(年数表記なし)は柑橘とハーブの香りが立ち、口に含むと軽い燻香が中盤を通って、余韻はすっきり短く切れる一本でした。同じサントリーでも、甘くて余韻の長い山崎とはほぼ逆の方向です。この記事では、麻布十番のジャズバーTOMIJAZのカウンターで実際に飲んだ感想を、香り・味わい・フィニッシュ・飲み方まで一次情報としてまとめます。

実際に飲んで分かったことは3つ。①香りは柑橘とハーブ・草の系統で、青々しく立ち上がる ②味わいは中口・ボディは軽く、中盤に軽い燻香が通る ③余韻は短くすっきり切れる。そのうえで、この一本がいちばん生きた飲み方はハイボールとロックでした。総合評価は5点満点で4.2、初心者へのおすすめ度は4.3です。

白州蒸溜所があるのは山梨県北杜市白州町、海抜708メートルの高地です。敷地の83%は自然環境保護のために未開発のまま残されており、「森の蒸溜所」とも呼ばれます。年間の平均気温は山崎より5℃低く、仕込み水には甲斐駒ヶ岳の伏流水が使われています。

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目次

1. 白州とは|標高708mの「森の蒸溜所」が生んだシングルモルト

白州は、サントリーが山梨県北杜市に構える白州蒸溜所でつくられるシングルモルトウイスキーです。山崎蒸溜所に次ぐ、サントリーで2つ目のモルトウイスキー蒸溜所にあたります。

シングルモルトウイスキー白州700mlの緑色のボトルを正面から見たところ。白いラベルに筆書きの「白州」、上部に「SINCE 1973」と「The distillery surrounded by forest」の文字が読める

1-1. 1973年、山崎に次ぐ2つ目の蒸溜所として

白州蒸溜所の創業は1973年。サントリー2代目社長・佐治敬三の指揮のもとで設立されました。1923年創業の山崎からちょうど50年後にあたります。

立地が味の性格を決めています。海抜708メートルという高地は、年間の平均気温が山崎より5℃低い。熟成の進み方が変わるため、同じ会社の原酒でも仕上がりの方向が変わります。仕込み水は甲斐駒ヶ岳の伏流水。敷地の83%を未開発の森として残していることから「森の蒸溜所」とも呼ばれます。飲む前からこの背景を知っておくと、香りの青々しさが腑に落ちるはずです。

1-2. 年数表記のない「白州」とは|12年との違い

店頭やバーのメニューで「白州」とだけ書かれているものは、年数表記のない定番品を指すのが一般的です。ノンエイジ、あるいはNV(ノンヴィンテージ)と呼ばれます。発売は2012年5月29日、アルコール度数は43度。山崎のノンエイジとまったく同じ日に発売された兄弟のような存在です。

「12年」という年数表記は、そのボトルに使われた原酒のうち最も若いものの熟成年数を示すルールです。白州12年の発売は1994年で、年数表記なしの白州はその18年後に加わりました。数字を名乗らない代わりに、熟成年数や樽の異なる原酒を組み合わせて味を組み立てています。

樽は主にアメリカンホワイトオークのバーボン樽、あるいはホグズヘッド樽が使われます。シェリー樽やミズナラ樽を前面に出す山崎とは、ここでも設計が違います。

1-3. 白州(年数表記なし)の基本情報

蒸溜所サントリー 白州蒸溜所(山梨県北杜市白州町・海抜708m)
種類シングルモルト ジャパニーズウイスキー
アルコール度数43度
容量700ml
発売2012年5月29日(白州12年の発売は1994年)
主な樽アメリカンホワイトオークのバーボン樽/ホグズヘッド樽
入手性・価格需要に対して供給が限られ、実勢価格は希望小売価格を上回る水準で推移。価格改定も繰り返されているため、購入時は販売ページの最新価格をご確認ください
TOMIJAZでの提供グラス 2,400円/ボトル 24,000円

2. 【実飲】白州を飲んだ感想|香り・味わい・フィニッシュ

ここからが本題です。麻布十番のTOMIJAZのカウンターで実際にボトルを開け、グレンケアングラスに注いで、まずはストレートで香りと味を確かめました。以下はそのときに取ったメモをもとにしています。

バーカウンターに立つシングルモルトウイスキー白州の緑色の700mlボトルと、その左に置かれた明るい黄金色の液体が注がれたグレンケアングラス。背後にはバックバーの酒瓶が並んでいる

2-1. 色|明るい黄金

グラスに注いで最初に目に入るのは、明るい黄金色です。山崎の琥珀と並べると、白州のほうがはっきり薄い。バーボン樽由来の色で、見た目の時点で「軽そうだ」と分かります。

2-2. 香り|柑橘とハーブが青々しく立つ

グラスを鼻に近づけると、柑橘の香りが最初に来ます。甘い果実ではなく、皮を剥いたときのような青みのある柑橘です。

そこにハーブや草を思わせる青々しさが重なります。刈った草、あるいは葉物の茎に近い香り。「森の蒸溜所」という呼び名を知ってから嗅ぐと、なるほどと思わされる方向でした。この段階では煙の香りはほとんど感じません。ここが後述の味わいとの落差になります。

2-3. 味わい|中口・軽いボディ、中盤に軽い燻香が通る

口に含むと、甘辛でいえば中口。甘くも辛くもない中間で、ボディは軽い。山崎のような甘さの押し出しはなく、するりと入ってきます。

面白いのはここからで、飲み進めた中盤に軽い燻香が通ります。香りの段階では出てこなかった煙が、口の中で一瞬顔を出す。強く主張するものではなく、軽く通り過ぎる程度です。白州にはライトピートの原酒が使われており、この燻香がその正体だと考えられます。

「白州=スモーキーなウイスキー」と身構える必要はありません。アイラモルトのような煙の主張とはまったく別物で、軽やかな味の中に短く一本線が入る、という程度の存在感でした。

2-4. フィニッシュ|短く、すっきり切れる

飲み込んだあとは短い。すっきりと切れて、口の中に何も残しません。中盤で通った燻香も、余韻までは引きずりませんでした。

これは食事と合わせるうえで大きな長所です。余韻が長く甘い山崎は1杯を長く楽しむ酒でしたが、白州は口の中をリセットして次の一口に進める。同じ蒸溜元の2本が、飲み方の設計から違うことがよく分かります。

2-5. 公式のテイスティングノートとどう違ったか

サントリーが公表している白州のテイスティングノートは、色が「明るい黄金色」、香りが「すだち、ミント」、味わいが「軽快で爽やかな口あたり、ほのかな酸味を感じるすっきりさ」、フィニッシュが「かすかなスモーキー、ほのかな甘み、すっきりとしたキレ」というものです。

今回感じたものと並べると、ほぼそのまま重なりました。色は明るい黄金でそのまま、柑橘は公式の「すだち」、ハーブ・草は「ミント」に対応します。軽いボディ、すっきりして短い余韻も公式の表現どおりでした。

違いを挙げるとすれば、燻香を感じた場所です。公式はスモーキーをフィニッシュの欄に「かすかな」と添えていますが、今回は余韻ではなく味わいの中盤で感じました。とはいえ「弱く、短く出る」という点は共通しています。香りの言葉は人によってずれるのが普通なので、細かい単語よりも「軽やかさが主役で、煙は脇役」という構図で受け取っていただくのが正確です。

サントリー シングルモルト ウイスキー 白州 43度 700ml
サントリー シングルモルト ウイスキー 白州 43度 700ml
¥13,487

3. 白州のおすすめの飲み方|ハイボールとロック

いろいろ試したなかで、この一本がいちばん生きたのはハイボールとロックでした。軽いボディと短い余韻は、加水や炭酸と相性が良い組み合わせです。

3-1. ハイボール|白州の本命

白州にとってハイボールは、消去法の飲み方ではなく本命です。炭酸で割ると柑橘とハーブの香りが上に立ち上がり、青々しさがはっきりします。もともと余韻が短くすっきりしているので、割っても味が痩せた感じになりません。

食事と合わせるならこれ一択でいいと思います。中盤の軽い燻香は炭酸で割っても消えず、後味に軽く一本線を残してくれるので、単なる爽やかなだけの飲み物になりません。

3-2. ロック|香りを締めて、燻香を前に出す

氷を入れると温度が下がり、青々しい香りが少し締まります。そのぶん中盤の燻香が相対的に前に出てくるのがロックの面白いところ。ハイボールが香りを開かせる方向なら、ロックは味の骨格を見る方向です。

氷が溶けるにつれて表情が変わるので、1杯のなかで2度おいしい。ハイボールを1杯飲んだあとの2杯目に向きます。

3-3. ストレート・トワイスアップはどうか

ストレートは、香りと味の順序をいちばん素直に確かめられる飲み方です。今回の実飲もストレートから始めました。最初の1杯はストレートで、というのは白州でも変わりません。香り=柑橘とハーブ、中盤=軽い燻香、余韻=すっきり、というこの順序は、割ってしまうと分かりにくくなります。

同量の常温の水で割るトワイスアップも相性は良い方法です。ただし白州はもともとボディが軽いので、加水しすぎると輪郭が薄くなります。山崎ほどトワイスアップの効果は大きくない、というのが今回試した実感でした。

4. 白州に合うおつまみ・シーン

4-1. おつまみ|燻製、そして「なくてもいい」という選択

合わせるなら燻製です。スモークチーズ、スモークサーモン、燻製ナッツなど。中盤に通る軽い燻香と方向が重なるので、白州の煙を燻製が引き受けてくれる形になります。

ただし今回いちばん実感したのは、おつまみが無くても成立するということでした。余韻が短くすっきり切れるので、口の中に何かを残しません。甘い余韻を受け止める相手が要る山崎とは、この点が対照的です。

  • 燻製:スモークチーズ、スモークサーモン、燻製ナッツ。白州の軽い燻香と同じ方向で重ねる組み合わせ。
  • 何も付けない:ハイボールにして食事と合わせるなら、つまみは不要。料理そのものが相手になります。

逆に、甘さの強いチョコレートやドライフルーツは白州の軽やかさを覆いがちです。そちらは山崎に回したほうが噛み合います。

4-2. シーン|ゆっくりした夜、はじめの一杯、贈り物

  • ゆっくり飲みたい夜に:軽くて飲み疲れないので、長い時間の相手になります。山崎が「1杯を長く」なら、白州は「何杯かを軽く」。
  • ウイスキーが初めての人に:クセが少なく、ハイボールにすればさらに入りやすい。ただし香りの繊細さを取るには少し経験が要るので、初心者へのおすすめ度は5点満点中4.3としました。
  • 贈り物に:知名度が高く、山崎ほど「重い」印象にならないので、相手を選びにくい一本です。

5. どんな人におすすめ?|総合評価

実飲した評価をまとめると、次のとおりです。

総合評価★★★★☆ 4.2 / 5
初心者へのおすすめ度★★★★☆ 4.3 / 5
甘辛中口
ボディ軽い
香りの系統柑橘/ハーブ・草
味わいの特徴中盤に軽い燻香が通る
フィニッシュ短い・すっきり
向く飲み方ハイボール/ロック
合うおつまみ燻製/なくてもよい

おすすめできるのは、こういう人です。

  • 食事に合わせるウイスキーを探している人
  • ハイボールで飲むことが多い人
  • 甘いウイスキーが得意でない人
  • 柑橘や青々しい香りが好きな人

逆に、甘くてコクのある味わいを求めている人や、1杯をじっくり長く飲みたい人には方向が違います。その場合は山崎のほうが噛み合うはずです。

総合4.2としたのは、味の完成度が低いからではありません。軽やかで完成されているぶん、驚きの幅が小さいこと、そして山崎と同じく実勢価格が上がりすぎていることの2点です。中身は文句なしに良いので、まずはバーのグラス1杯で好みを確かめる価値があります。

6. 麻布十番で白州を飲むなら|TOMIJAZのバックバーから

TOMIJAZでは白州をグラス2,400円(ボトル24,000円)でご用意しています。山崎も同じグラス2,400円なので、同じ日に発売された兄弟のような2本を並べて、甘い山崎と軽やかな白州がどう違うのかを一度で確かめることができます。白州12年(グラス4,800円)も置いていますので、年数表記なしとの飲み比べも可能です。

麻布十番で白州を味わうなら:TOMIJAZのご案内

麻布十番のジャズバー TOMIJAZ は、創業者・トミがニューヨークで20年、麻布十番で14年にわたり築いたジャズバーを、常連客であった現運営チームが2022年より受け継いでいます。白州・山崎をはじめ、ジャパニーズからスコッチ、バーボンまで幅広い銘柄をグラスでご用意しており、「食事に合う軽やかなものを」「今日は甘めのものを」といったご希望をお伝えいただければ、バーテンダーが一杯をご提案します。ジャズが流れる落ち着いた空間で、次の一本を探す時間をお過ごしください。

所在地〒106-0045 東京都港区麻布十番2-8-3 ディケンズ麻布 3F
営業時間月〜水 19:00〜24:00(L.O. 23:30)/木・金 19:00〜翌2:00(L.O. 翌1:30)/土 19:00〜23:30(L.O. 23:00)
定休日日曜・祝祭日 ※土曜は不定休
アクセス東京メトロ南北線「麻布十番駅」4番出口/都営大江戸線「麻布十番駅」7番出口より徒歩3分
電話予約03-3454-5566 ※営業時間内のみ
ウェブ予約食べログ予約ページ

お酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中・授乳期の飲酒はお控えください。体質・体調に合わせて、適量を楽しくお飲みください。

まとめ

白州(年数表記なし)を実際に飲んで分かったことを、あらためて整理します。

  • 香り:柑橘とハーブ・草。青々しく立ち上がり、この時点では煙をほとんど感じない。
  • 味わい:中口でボディは軽い。中盤に軽い燻香が短く通る。
  • フィニッシュ:短く、すっきり切れる。口の中に何も残さない。
  • 飲み方:最初の1杯はストレート。そのうえでハイボールが本命、2杯目にロック。
  • 評価:総合4.2/5、初心者へのおすすめ度4.3/5。

山崎と白州は同じ日に発売された兄弟のような2本ですが、甘くて余韻の長い山崎と、軽やかで余韻の短い白州という具合に、性格はほぼ逆です。どちらが上ということではなく、食事に合わせるなら白州、1杯をじっくりなら山崎、という選び分けになります。まずグラス1杯で自分の好みに合うかを確かめる——白州でも、その順番がいちばん失敗しません。

よくある質問(FAQ)

白州はどんな味ですか?

実際に飲んだ印象は、柑橘とハーブの香りが立つ、軽やかなウイスキーです。甘辛でいえば中口、ボディは軽く、口に含むと中盤に軽い燻香が短く通ります。フィニッシュは短くすっきり切れて、口の中に何も残しません。甘くて余韻の長い山崎とは、ほぼ逆の性格です。

白州はスモーキーなウイスキーですか?

身構えるほどではありません。白州にはライトピートの原酒が使われており、たしかに燻香はありますが、今回感じたのは味わいの中盤に軽く通る程度でした。香りの段階ではほとんど感じず、余韻にも引きずりません。サントリーの公式ノートでも「かすかなスモーキー」と表現されています。アイラモルトのような煙の主張とはまったく別物と考えてください。

白州と山崎はどちらがおすすめですか?

目的で分かれます。食事に合わせる・ハイボールで飲む・甘いのが苦手なら白州、1杯をじっくり飲む・甘くて飲みやすいものが好みなら山崎です。2本は同じ2012年5月29日に発売された兄弟のような存在ですが、味の設計は逆方向に振られています。TOMIJAZでは両方をグラス2,400円でご用意しているので、並べて飲み比べていただくのがいちばん早い判断方法です。

白州はハイボールで飲むのがいいと聞きますが本当ですか?

本当です。今回試したなかでもハイボールが本命でした。炭酸で割ると柑橘とハーブの香りが上に立ち上がり、青々しさがはっきりします。もともと余韻が短くすっきりしているので、割っても味が痩せません。中盤の軽い燻香も炭酸に消されず後味に残るので、単に爽やかなだけの飲み物にならないのが良いところです。

年数表記のない「白州」と「白州12年」は何が違いますか?

「12年」は、そのボトルに使われた原酒のうち最も若いものが12年以上熟成していることを示す表記です。白州12年の発売は1994年、年数表記なしの白州はその18年後の2012年に加わりました。年数表記がないことは品質が下という意味ではなく、熟成年数や樽の異なる原酒を自由に組み合わせて味を組み立てる、という設計の違いです。TOMIJAZでは両方をグラスでご用意しています。

白州に合うおつまみは何ですか?

燻製が合わせやすいです。スモークチーズ、スモークサーモン、燻製ナッツなど、中盤の軽い燻香と方向が重なります。ただし今回いちばん実感したのは、おつまみが無くても成立することでした。余韻が短くすっきり切れるので、口の中に何も残さないためです。逆に甘さの強いチョコやドライフルーツは軽やかさを覆いがちなので、そちらは山崎向きです。

なぜ白州は「森の蒸溜所」と呼ばれるのですか?

白州蒸溜所は山梨県北杜市の海抜708メートルという高地にあり、敷地の83%を自然環境保護のために未開発の森として残していることに由来します。年間の平均気温は山崎より5℃低く、仕込み水には甲斐駒ヶ岳の伏流水が使われています。この環境が、柑橘やハーブを思わせる青々しい香りの背景にあると説明されています。

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この記事を書いた人

TOMIJAZ Bartenders(トミジャズ・バーテンダーズ)

麻布十番のジャズバーTOMIJAZの現役バーテンダーチーム。創業者・トミがニューヨーク20年・東京14年にわたり築いたジャズバーの歴史を、常連客からオーナーとなった株式会社Envalue代表の水野泰和が2022年11月より受け継いでいます。お酒・ジャズ・空間づくりに関する一次情報を、現場のカウンターから発信しています。

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